【PL20−21/第4節 リーズ戦】師弟対決はビエルサに軍配、厳しい船出となったシティ
マルセロ・ビエルサ監督率いるリーズとの対戦となったシティ。前節レスターに大敗し、ルベン・ディアスを獲得しての試合となりましたが、この昇格組は強烈なチームでした。
シティスカッド。
先発
GK:エデルソン
DF:ウォーカー、ディアス、ラポルト、メンディ
MF:ロドリ
デ・ブルイネ、フォーデン
最終
GK:エデルソン
DF:ウォーカー、ディアス、ラポルト、アケ
MF:フェルナンジーニョ、ロドリ
ベルナルド、デ・ブルイネ、フォーデン
FW:スターリング
移籍早々にディアスは先発フル出場です。後半ボロボロとなったメンディはアケと交代、フェルナンジーニョ投入と共にダブルボランチへと移行しています。南米エース2人を欠くトップが厳しいですね。
【リーズ:1−1:マン・シティ】DREW
かなり厳しい試合になってしまいましたね。前半の終盤まではシティがゴールも内容も上回りましたが、後半になってビエルサ率いるリーズに掻き回され続け、遂に失点。ドロー決着とはなりましたが、負けておかしくない内容でした。
ビエルサの守備は基本的にはマンツーで人につきますから、ペップとしてはドリブルで剥がすことを一つの方法論として用意し、前半はいくつかのチャンスを作り出しています。マークを剥がせないと局面が厳しくなるのですが、その分スペースを享受することも出来るので、ゴールチャンスは自然と増えましたね。メンディやラポルトはパスではなくドリブルで前に運ぶシーンが目立っていたと思います。スターリングの個人技によるゴールは素晴らしかったですが、それ以外でもチャンスは作れていましたので、前半のうちにリードを広げておくべきでした。
際立ったリーズの良さを招いたのは、シティ自身の戦い方
後半リーズに一気に持っていかれたのは、リーズの良さが存分に出た結果ではありますが、速攻に固執したシティの自滅だったと考えます。前節のレスター戦はハイライトでしか観れていないので、言及が難しいのですが各種コメントなんかを読む限りでは、レスターお得意のカウンターに沈んだシティの負けパターンだったようですから、縦にアグレッシブなリーズを前に同じ轍を踏みたくなかったのかもしれません。ですが、速攻を繰り返すことによりシティのボール保持の時間は短くなり、行ったり来たりのハイペースはシティの選手には重荷だったのではないでしょうか。
実際、リーズの方が走れる機会を多く得る事となり、縦に縦に何人も追い越していく様は圧巻でした。エデルソンを中心に1失点で抑えられたことは、不安視される守備陣としてはある意味良い結果だったのかもしれません。
この試合リーズの方が走行距離は当然長いですが、疲弊していたのは寧ろシティの方で、不慣れなプレーの連続というのは想像以上に体力を消耗するものです。リーズのマンツーに多くの場面でハマるようになり、また体力の消耗もあってか球際になると競り負けてボールロストするシーンが増えました。速攻の掛け合いというのはプレミアらしいなとは思いますが、ペップのチームの戦い方としては得策ではないでしょう。ペップシティ1年目を思い出した気分になりましたよ。勿論、ストライカー2人を欠きフォワードがいないというのは多分に考慮に入れるべきではありますが。
ディアスの守備は及第点、メンディでシーズンフル戦うのは無理
レスター戦で大敗し、守備陣崩壊などと言われるシティですが、この試合はよく耐えたと思います。後半一気に流れを持っていかれ、攻め立てられましたが、エデルソンのビッグセーブにより一つの失点で済んでいます。勿論、それ以上に失点しておかしくなかったので守備面が改善されたとは安易に言えないでしょう。只、リーズの攻撃力がプレミアでも有数なのは既に開幕からのここまでで証明されているとおりなので、よく堪えたと一定の評価も与えるべきでしょう。新加入のディアスは大きな問題を出す事なくシティでの初戦を終えています。エリア内でロドリゴと対面した際も最後まで堪えて何とか足に当てるなど、ペップ期待のCBでよく言われる守備面の弱さは少なくともこの試合ではあまり感じませんでした。
反対にメンディはやはり厳しいと言わざるを得ないでしょう。リーズにやられたのは殆どシティの左サイドですし、攻撃面でもドリブルで剥がすまでは良かったですが、剥がした後のプレーに乏しく、どうにもなりません。攻守両面で目立つのは、やはり状況判断の悪さによるプレー選択の間違いですね。特に右のウォーカーが攻守に渡って大きな存在感を放っているだけに、悪目立ちし過ぎてます。シーズンをフルで戦うのは厳しいでしょう。
考え過ぎではと思えるペップ、このまま袋小路に入り込むのか
正直、最近のペップは考え過ぎではないでしょうか。或いはアイデアが上手くハマらないようになってきているのか。勿論、この試合でも前半良いプレーが多かったように、中央に通させないプレスからデ・ブルイネがカットしてショートカウンターというシーンは、3度ありましたから狙ってのものでしょうし、速攻に頼った攻撃も危うかった後半にもビッグチャンスを作っている訳ですから、完全に否定できるものでもありません。フェルナンジーニョとアケを投入し4−2−3−1で安定させた判断も適正でしょう。
只、特に後半の速攻一辺倒のチームを見ていると、別にペップじゃなくて良いなと思ってしまう訳です。勿論、切れるカードが少なかったのも事実でしょう。攻撃面で頼りになるベンチメンバーはベルナルドのみで、らしさは出ていましたがタイプ的にも必要なカードがなかったのかもしれません。
1・2年目の大改革以降、マイナーチェンジでピンポイント補強してきたシティの戦略は間違いとは言えませんが、昨季よりチームは完全なマンネリ状態に陥っているように思えます。ディアスがフィットして守備陣が安定し、ストライカー達が戻って来れば軌道に乗る可能性はありますが、そこまでに既にリーグで脱落しているかもしれませんね。
ペップ自身も未開の地である5年目。師が師らしいチームを引っ提げて存分なプレーを披露しているのを観て、ペップは何を感じたでしょうかね。